タイムシェア購入時の名義はどのようにすべきか

2016年09月10日
樫原明宏

オーナーの名義はどうするか?

比較的少額で購入できるタイムシェアとはいえ、米国では立派な不動産です。オーナーになるといろいろと活用できる特典があります。

ハワイタイムシェアイメージ

それなら、できるだけ多く親族の名前を入れておこうとも考えるのが人情です。リゾートの説明会でも、 将来、所有権を相続できることを謳い文句に子、孫などの名義も入れておられるオーナー様をよく拝見します。

多くの親族を名義に入れるメリットは?

HGVCを例に考えますとメリットはオープン・シーズン予約(一ヶ月を切ってからの予約)です。空いていれば、ポイントが残ってなくとも、格安で現金で支払える優れたシステムです。

チェックインの時に宿泊者の1人はオーナーである必要があります。よって一ヶ月を切ってから予約し、現金支払いする利用方法をする可能性がある親族なら名義に入れてもよろしいかと思います。

他には一人名義の場合、死亡後の転売が非常に困難になるため少なくとも2人名義にするのも正しい選択かと思います。

多くの親族を名義に入れるデメリットは?

ハワイタイムシェア部屋のイメージ

今度は反対に多くの親族を名義に入れるデメリットについて考えてみたいと思います。 そのデメリットの多くは売却時に発生し、前述のメリットより大きいかもしれません。

 現在の戸籍上の名前と購入時の名前が一致していない場合(死亡、婚姻、離婚、改名)、米国で証明する必要がございます。必要書類を取り寄せるだけでなく英訳して証明する諸費用がかかります。 購入時は未婚女性で、売却時は婚姻していたお子様を登記していた場合、登記謄本の翻訳料、納税番号取得費用が発生します。本籍が遠方の場合、戸籍謄本は郵送で手配する手間と時間もかかります。

また、昨今、米国歳入庁の指示により、名義人全員の米国非移住者の納税番号を取得する義務が発生してきました。取得には身分証明としパスポートコピーの公証費用も全員一人ひとり必要です。売却する頃にはパスポートの期限が切れている方も多く、もう海外に行くこともなくなったのに、わざわざご両親にパスポートを再発給して頂くなどの必要が生じます。

また、権利譲渡証書(DEED)のサイン認証(公証)も必要です。日本のハーグ条約加盟で 東京、神奈川、大阪都府県下の公証役場での公証も可能になり、多少、利便性が増しましたが、全員一緒に公証に行って頂く必要があります。しかも書類受領後すぐとなります。3名以上の場合はほとんど日時を合わすのは無理となりますので、代行業者に依頼することも可能ですが印鑑証明書や委任状などの書類が必要になります。


相続については?

ハワイタイムシェア部屋のイメージ


購入時には将来の相続も考えて子、孫の名前もいれる方がいらっしゃいますが、タイムシェアを相続する方は殆どなく、家族構成などライフスタイルの変化により、売却するか、古くなったリゾートから新しいリゾートに買い換えます。米国人の多くもリセールを買って、最新リゾートのリセール物件を買い直すというのが、一般的で日本市場でも今後同じようになってくるかと思います。

安易な大人数の登記は、将来の売却時の煩雑な手間と諸費用がかさむ可能性がございますのでご留意頂く必要がございます。

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