ここが違う!日本とアメリカ不動産手続き

2012年02月16日
野田省三

アメリカと日本の不動産売買に関する手続きのしかたについて、大きく違っている点をいくつかご案内いたしましょう。

購入意思表示は全て書面で行う

日本で、不動産を購入する場合、口頭にて、価格や条件を不動産会社に申し出し、不動産会社が売主様に条件を口頭で伝えてて話し合いをすることが普通です。

しかし、アメリカでは、一般不動産に限らずタイムシェアの売買でも、必ず、書面で、頭金を添えて、購入申込を行うのが常識となっております。

最初は買付申込書と頭金を添えて申し込むのが米国不動産の常識

deposit最初は買付申込書に、購入者の氏名、希望物件の詳細、その他の条件を記入して、予約金(最低$1,000から、一般的には購入金額の10%相当分)を契約書に添えて売主に提示します。

予約金は通常は、買主の小切手で支払われるのが一般的ですが、米国非居住者は米国に銀行口座を開いていない方が多いので、弊社のばあいには、買主のクレジットカードで決済できるようにしております。

売主はその内容に同意したばあいには、同意(Acceptance)項目に、サインして返送します。もし内容の一部を変更したいばあいには、Counter Offer(再提案)を入れることができます。買主が、そのCounter Offerに同意してサインした段階で、契約が成立いたします。

買主、売主が同意した(双方がサインした)Purchase ContractまたはCounter Offer Contractは、仲介を担当不動産会社(ブローカー)より、予約金の小切手と一緒にエスクロー会社にすぐさま送られます。

エスクロー会社は、売買契約書と予約金を受け取った段階で、エスクロー口座を開設します。これが売買契約の手続きの第一段階が終了して、第2段階にはいることとなります。


ウェイバー?エストッペル?聞きなれない単語の意味は?

エスクロー売買契約書に売主買主が署名するとエスクロー会社の口座をオープンし、手続を開始します。エスクローは、売主と買主に中立で第三者の立場で、「売買代金の安全な管理」と「公平な名義の変更手続」をおこなってくれる日本にはない安心な取引ができる為の機関です。

タイムシェアの売買契約に関してエスクロー会社がまず第一に行う業務は、該当リゾート運営会社(ディベロッパー)に対して、この売買契約を承認してもらう手続きです。

これは、ほとんどのタイムシェア物件は、そのタイムシェアを運営する会社が、「先取買取権(Right of First Refusal=ROFR)」を保有しているからです。

売主様と買主様が売買契約を結んでいても、ディベロッパーがROFRの権利を行使すると売主には影響はございませんが、買主はディベロッパーとなり、本来の買主は購入することができなくなります。

つまり、タイムシェア物件のほとんどには、リゾート運営会社が、最初に買い取る権利を持っている条項を認めたうえで、売買がされているからです。

そのような理由のため、エスクロー会社の最初の仕事は、タイムシェアを運営しているリゾート運営会社に、当該売買契約書を添えて、「先取買取権ROFR」を放棄(waiver)してもらうようにリゾートにリクエストします。

このことを、Waiver(買取権放棄)といい、その書類のことを、Estoppel(エストッペル)といいます。ポイントがどのように使われているか、または残っているかは、このEstoppelの記載事項に入ってきます。

したがって、Waiverを申請して、リゾート運営会社がEstoppelを発行して、エスクローに送った時点で、この売買契約が事実上正式に成立したこととなります。




タイトル会社とは何か?

タイトルサーチその次に、エスクローが行う業務がTile Search(物件調査)です。この物件調査を担当するのがタイトル会社ということになります。このタイトル会社はエスクローから独立した会社であることが一般的ですが、おおきなエスクロー会社ですと、このタイトル会社の機能も内部に持った会社もあります。

タイトル会社は、まず、売主が提出したタイムシェアの内容と、公の機関に登記済みの内容とを比較し間違いがないかどうかを確認いたします。このことをTitle Search(タイトル調査)といいます。

その次にタイムシェアの物件に瑕疵がないかどうかを調べます。とくにローン抵当権や、何か特別のLien(留置権、先取権)が着いていないかどうかを調べるわけです。

ローン抵当権はローンを完済した時点(通常は売主受け取り金額と相殺)で解除することになります。その他調べる条項としては、規定のポイントが間違いなく残っているかどうかなどを確認します。

物件調査(Title Search)が終了したしますと、このタイムシェアは売買可能物件とみなされて、初めてそこから、新しい権利書(Deed)の作成にはいります。

タイトルサーチ(物件調査)したあとでも物件の瑕疵が発見されることもありえます。この場合には、Title Insurance (権利書保険)を購入することにより、万が一瑕疵があったばあいでも、その物件の価値が担保されるわけです。登記関連費用(Closing Costs)には、通常このTitle Search とTitle Insurance費用が含まれております。

新しい権利譲渡証(DEED)は誰が作成するのか?


権利書は通常は、エスクロー会社が契約している弁護士が作成します。その費用も、Closing Costs(登記手続き費用)の中に含まれてきます。

この権利書(Deed)には、通常は、売主の氏名・住所と買主の氏名・住所が記載されますので、この記載事項に間違いがないかどうかを登記される前に確認する必要があります。

タイムシェアの詳細情報は、権利書に付属する書類(Exhibit A)に記載されますので、この記載事項にも間違いがないかを確認する必要があります。

(Conveyanc Tax Certificate=所有権移転税証明書)

タイムシェア売買に関する登記関連書類のなかに、Conveyance Tax Certificateを添付して登記する必要があり、この書類の作成もエスクローが行います。

以上の作業が終了して、必要書類と購入金額・必要費用の入金が確認された段階で、エスクローは登記所に対して物件の登記をすることになります。




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